フリーランスに契約書は必須!注意点と効率良く契約を結ぶ方法 2020.05.26
フリーランスは、クライアントと自分で契約を結ばなくてはなりません。
その時に用意するべきなのが契約書です。
このページでは、フリーランスにとって契約書が非常に重要である理由と、契約書を効率よくかわす方法を解説しています。
フリーランスにとって、自分の身を守るための手段である契約書。
フリーランスとして働くなら知っておきたい知識を盛り込みました。
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トラブル防止のためにフリーランスには契約書が必須
フリーランスがクライアントとの契約を結ぶ際には、絶対に契約書を作成するようにしましょう。
リスク回避の観点がその理由です。
仕事内容や報酬、支払方法、途中でキャンセルになった場合など、口約束だけでは心もとなく、トラブルに発展しやすいです。
しかし、契約書を作成して形として残しておくことで、口約束の際に発生するリスクを回避することができます。
日本ではフリーランスの社会的地位がまだまだ低く、フリーランスを安く使おうとするクライアントも多くいます。
その中で、仕事内容に不備があるなどの理由を後付けし、報酬が支払われないというケースも少なくありません。
そのため、作成する契約書はフリーランスにとってもクライアントにとっても重要なのです。
契約者双方の利益を守り、無駄なトラブルを防ぐためにも、契約時に契約書は形として残しておくことをおすすめします。
フリーランスが契約書を交わす際に注意すべきこと
ここからは、フリーランスが契約書を交わす際に注意すべきことを解説していきます。
- 業務の範囲について
- 報酬や税金の取り扱いについて
- 着手金について
- 瑕疵(かし)担保責任について
- キャンセル料について
- 著作権について
- 不可抗力について
- 秘密保持契約について
契約書に記載すべきことは、多岐にわたります。
また、記載する項目が多いため、注意すべきポイントも多いです。
しかし、契約書はいざというときに自分を守ってくれる唯一の手段です。
そのため、面倒でも契約書にはすべて目を通し、おかしいところがないかを確認するようにしましょう。
いざというときに守ってくれるのは、他でもないその契約書なのです。
業務の範囲について
契約書を交わす際にまず確認すべきなのは、業務の範囲についてです。
たとえばホームページの制作に関する契約の場合、業務の範囲がホームページの作成のみなのか、その後の更新まで請け負うのかで、負担は大きく変わります。
業務の範囲を契約時に明確に定めておかないと、クライアントにいいように業務を後付けされてしまい、報酬に見合わない労働を余儀なくされる可能性があります。
フリーランスには、報酬に見合わない労働を長々としている余裕はありません。
そのため、契約時に業務の範囲をしっかり確定しておくことで、将来的に自分を守ることができるのです。
報酬や税金の取り扱いについて
報酬に関する記載も、契約書を交わすうえで非常に重要です。
契約書に具体的な金額が記載されないこともあります。
場合によっては「仕様書に定める通り」や、「協議の上金額を決定する」という記載のこともあります。
契約書に報酬に関する明確な記載がない場合は、仕様書や契約内容を確実にチェックするようにしましょう。
また、税金の取り扱いについての交渉も必要です。
報酬の振込手数料や支払い方法、消費税の支払いなど、協議すべき項目はいくつかあります。
こちらも事前に確定しておかないとトラブルになりかねないため、面倒でもしっかり確認するようにしましょう。
着手金について
契約内容によっては、仕事を始める前にクライアントから着手金を受け取ることもできます。
前金の扱いではありますが、フリーランスからしたら報酬を全額受け取れないという心配がなくなります。
着手金の金額は報酬における割合で確定し、着手金の入金を確認したら業務に取り掛かることになります。
着手金に関する注意点としては、業務が途中でキャンセルとなった場合です。
契約の際にクライアントに、あらかじめ着手金は返還しないという宣言をすることもできます。
途中キャンセルになった際の着手金の取り扱いに関しても、契約書には盛り込んでおく必要があります。
瑕疵(かし)担保責任について
瑕疵(かし)担保責任とは、納品後にフリーランス側のミスで予期せぬ不具合が発生した場合に、期間内であれば無料で修正対応に応じることを定めた契約責任です。
瑕疵担保の期間は、一般的に90日以内とされています。
しかし、初期段階の不具合や欠陥、明らかに制作したフリーランス側に原因がある不具合に限るとしておくことをおすすめします。クライアント側ですでに何か手を入れてしまっている場合は該当しないということを明確することで、クライアントとのトラブルを避けることができるのです。
キャンセル料について
万が一業務が途中でキャンセルになってしまった場合に備えて、契約書にはキャンセル料に関する記載もおこなうようにしましょう。
クライアントの都合で業務がキャンセルになる場合は、着手金を放棄する内容で合意することが多いです。
逆にフリーランス側の都合で業務をキャンセルする場合には、着手金を全額返還しなくてはならない可能性もあります。
時と場合によって対応が変わってくるため、契約書を交わす際に注意して確認しておくと良いでしょう。
著作権について
成果物を納入後、対価の報酬が支払われた時点で、著作権はクライアントに移転する旨を定めた契約書があるのに対して、成果物を納品した後も著作権は制作者側にあり続ける旨を記載した契約書もあります。
イラストや写真などに関しては特にシビアです。
- 納品物を勝手に二次的利用しないこと
- トリミングや拡大縮小など、クライアントが自由に変更できる範囲を明確化
- クレジット表記を入れるか入れないかの判断
など、著作権に絡むさまざまな交渉をしておく必要があります。
著作権に関する契約項目を曖昧にしておくと、後々トラブルになることが多いです。
そのため、契約書を交わす際には著作権に特に注意しましょう。
なかでも著作財産権はとても重要
数ある著作権の中でも、著作物を営利目的で使用するときに生じる権利である著作財産権については、著作したフリーランスからクライアントに譲渡することが多いです。
しかし、制作者の権利を守るための条項については別途定めておきましょう。
事前に契約書に記載しておくことで、著作者の知らないところで勝手にアイデアやノウハウが流出したり、商標権登録などの一方的な権利主張が発生したりしないようにすることができます。
不可抗力について
業務を進めていくにあたり、不慮の事故などの不可抗力によって納品が遅れたり、完了できなかったりしたときのために、契約書には不可抗力に関する記載もしておきましょう。
不可抗力によって業務が完了できないときの責任の所在や、着手金の扱いなど、事前に決めておくべきポイントは多いです。
不可抗力が発生した際の対応を契約時に決めておくと、安心して業務に取り組むことができます。
秘密保持契約について
契約中の業務において知りえた情報は、秘密情報として扱うという内容です。
第三者に知らせたり、他のクライアントとの業務に使用したりしないことを確約します。
こちらはそもそもの信用にかかわるものであるため、問題なければ契約書に記載しておくようにしましょう。
フリーランスが結ぶのは業務委託契約が多い
フリーランスがクライアントと結ぶ契約方法は、業務委託契約である場合が多いです。
業務委託契約には委任契約と請負契約があり、それぞれ少し違いがあります。
業務委託契約の中でも、自分の状況や都合によって契約方法を変えることをおすすめします。
フリーランスと業務委託の違いって何?違いを徹底解説!契約書以外にフリーランスが交わす文書は4つ
フリーランスがクライアントと交わす文書は契約書を含め、全部で5つです。
- 見積書
- 発注書
- 契約書
- 受領書
- 請求書
まずは見積書で、業務に対しての対価や所要時間を見積もった見積書を提出します。
価格や納期の折り合いをつける際に使われます。
納期などが確定したら、クライアント側から発注書を発行します。
発注書の内容に同意したら、フリーランス側から契約書を発行します。
契約を結び、業務が終了したら、今度はクライアントのほうから受領書を発行します。
納品を確認したら、フリーランスは請求書を発行し、クライアントに対価の支払いを要求することができます。
フリーランスがクライアントと仕事をするためには大きく分けて5つの書類を交わす必要があるのです。
契約書を効率良く交わす方法
これまで、契約書は紙媒体で交わすことがほとんどでした。
しかし紙媒体だと契約書を交わすのに時間がかかるのも事実です。
ここからは、今の時代だからこそできる、契約書を効率良くかわす方法を紹介していきます。
契約書の電子化を検討したり、ひな形を活用したりと、方法はいくつかあります。
自分の都合に合った方法を選ぶようにしましょう。
契約書などの電子化を検討する
契約書だけではなく、見積書、発注書、受領書、請求書なども、紙媒体ではなく電子化が進んでいます。
契約書を保管する場所を削減でき、スピード感をもって契約書を交わせるというメリットがあります。
しかし、電子化を導入するためには相応のコストがかかります、
また、契約相手も電子化に対応している必要があります。
現在はまだ完全に普及しているとはいえませんが、近い将来、契約の電子化はメジャーな契約方法になります。
そのため、今のうちから電子化に対応しておいて損はないでしょう。
ひな形を活用し、自分用の契約書を作成しておく
インターネット上にある契約書のひな形を利用し、自分用に契約書のテンプレートを作成しておくこともおすすめの方法です。
契約を結ぶたびに契約書を白紙の状態から作っていては、単なる時間の無駄です。
そのため、自分だけのテンプレートを作っておくことで、業務をスムーズに進めることができるのです。
今の時代、インターネットにはさまざまな種類の契約書のひな形が出回っています。
業務内容や自分の都合に合った契約書を作成しておくことで、契約も間違いなく効率的に進めることができます。
フリーランスには契約書が必須!
フリーランスとして働くのであれば、契約書の作成は絶対にするべきことのひとつです。
契約書を作成することで、トラブルが発生した際のリスク回避につながります。
フリーランスは会社員のように、なんでも会社が守ってくれるわけではありません。
自分の身は自分で守らなくてはいけないフリーランス。
自己防衛の手段の一つが契約書なのです。
これからフリーランスとして働くことを検討している人は、まず契約書のテンプレートを作成するようにしましょう。