フリーランスが報酬未払いで困らないための知識と対策を教えます 2020.07.02
フリーランスとして仕事をしていると、少なからず「報酬の未払い」というリスクが付きまといます。
本来あってはならないことですが、未だにフリーランスへの報酬未払いが横行しているのが現状です。
このページでは、フリーランスが未払い被害に遭わないための対策や、実際に被害に遭ってしまったときの対処法などを解説しています。フリーランスとして働いていくのであれば、必ずつきまとうリスクに対処するための知識です。
すべてのフリーランスの皆さん、必見です。
フリーランスが未払い被害を受けないための対策
フリーランスが未払い被害を受けないためには、あらかじめ対策を講じておくことが一番です。
未払い被害を予防するためにフリーランスが取っておくべき対策は、9種類あります。
- クライアントについてあらかじめ調べておく
- 請求書を発行する
- 報酬の一部を前金としてもらう
- 交渉の記録をとる
- 担当者の名刺をもらう
- 契約期間を短期にする
- 債権回収に関する手続きについて知っておく
- 請求代行サービスを利用する
- クライアントの態度を注意して見ておく
フリーランスが未払い被害を未然に防ぐ方法は、多くあります。
そのため、自分が取り組みやすい方法で未払い被害への対策を鳥と良いでしょう。
クライアントについてあらかじめ調べておく
仕事を請けるクライアント先がどんな会社なのかを事前に調べておくことは、未払い被害を防ぐために効果的な方法です。
特に調べておきたいのは、オフィスの住所です。
ひどい例だとオフィスに該当する住所が畑や田圃だった、というケースも少なくありません。
オフィスの実態がないクライアントは、最初から踏み倒そうと意図している可能性が非常に高いです。
そのため、どんなに良い案件であったとしても、実態のないクライアントから案件を受注することは割けましょう。
請求書を発行する
請求書を発行しておくことも、フリーランスが未払い被害を未然に防ぐことができる方法です。
未払い被害に合うケースとして、「請求書をもらっていないから支払いができない」という言い訳で交わされるということがあります。
しかし、この言い訳は請求書を発行することで粉砕できます。
請求書を発行するといざトラブルに発展したときの交渉材料としても使えるため、あらかじめ請求書を発行して共有しておくことをおすすめします。
報酬の一部を前金としてもらう
報酬の一部を前金としてもらっておくことも、フリーランスが未払い被害を未然に防ぐことができる対策の一つです。
前金をもらうことができれば、報酬の全額未払いは未然に防ぐことができます。
ここで注意するべきなのは、確実に前金を受け取ってから仕事を開始することです。
クライアントが「前金を支払った」といっても、実際には着金していないケースも少なくありません。
そのため、報酬の一部、もしくは全額を前金として確実にもらうことで、報酬の未払いを未然に防ぐことができるのです。
交渉の記録をとる
クライアントによっては、交渉の内容を曖昧にしたまま仕事を進めようとする場合があります。
交渉内容が曖昧だと、後々トラブルになる可能性が高まります。
そのため、後々トラブルになることを防ぐためにも、条件などの交渉の記録をしっかり取っておくことが重要なのです。
メールなどで条件交渉の過程を文字として残しておくことで、後々報酬が未払いになる可能性を潰すことができます。
クライアントによっては記録を残さないために電話で条件の交渉をしてくる場合がありますが、そこは譲らずに、文面での交渉を進めるようにしましょう。
担当者の名刺をもらう
クライアント先の担当者の名刺をもらっておくことも、報酬の未払いを事前に防ぐことにつながります。
名刺をもらうためにも、仕事に着手する前にクライアントに直接会っておくのが良いでしょう。
クライアントがちゃんとした会社であれば、当たり前のように名刺を作成しているはずです。
名刺にはクライアントに関する情報が詰まっているため、案件を受注する前に手に入れておくべきです。
報酬の未払いを未然に防ぐためにも、クライアント先の担当者の名刺をもらっておくようにしましょう。
契約期間を短期にする
契約期間をできるだけ短くし、短いスパンで報酬をもらっておくことで、報酬をもらいそびれるリスクを減らすことができます。
長いスパンの契約で大きな金額の未払いに遭うよりも、短いスパンの契約で未払い額を小さく押さえたほうが、リスクが低いためです。
業種によっては短期の契約が難しい場合もありますが、クライアントと交渉してできる限り短いスパンで契約を結べるようにしましょう。
債権回収に関する手続きについて知っておく
報酬の未払い被害に遭い、クライアントが一向に報酬を支払わない場合、最終的には法的手段に出ることになります。
そのため、最悪の事態を想定し、債権回収に関する知識を身につけておくことが必要なのです。
弁護士に相談することも良い選択肢ですが、どうしても手続きに時間がかかってしまいます。
しかし、報酬が未払いのまま時間を空けてしまうと、クライアントからうまく逃げられてしまう可能性もあります。
そのため、クライアントも逃さないためにも、自分でできる手続き(内容証明郵便や少額訴訟など)は自分でやったほうが確実なのです。
それらの手続きに必要な知識を身に着けておくことで、いざというときに自分で動けるようになるのです。
請求代行サービスを利用する
自分で請求してもクライアントが対応してくれない場合は、請求代行サービスを利用することをおすすめします。
請求代行サービスを利用することで、クライアントに繰り返し請求する手間や時間を省くことができます。
その分他の仕事に時間を使うことができるのです。
自分だけでは対処できなかった問題も、請求代行サービスを利用することで解決できるかもしれません。
そのため、請求に無駄な時間を使いたくないフリーランスは、請求代行サービスを活用すると良いでしょう。
クライアントの態度を注意して見ておく
クライアントの態度を注視しておくだけでも、未払いを未然に防ぐことができます。
未払いを起こすようなクライアントは、何かしらの怪しいアクションを取ります。
怪しいかどうかは見ていればわかるため、そのようなアクションを取るクライアントとは契約しないことが一番です。
一番簡単に取り組める対策として、クライアントの態度を注意して見ておくことは、効果的な手段であるといえるでしょう。
未払い被害に遭ったフリーランスがとるべき行動
ここからは、実際に未払い被害に遭ってしまったフリーランスがとるべき行動を解説していきます。
- 内容証明郵便をクライアントに送る
- 少額訴訟を考える
- 法テラスに相談する
もしクライアントからの報酬未払い被害に遭ってしまった場合は、遠慮することなく周囲に相談したり、法的手続きをしたりすることを考えましょう。
報酬を受け取ることは、仕事をやり遂げたフリーランスが持つ、正当な権利です。
そのため、泣き寝入りはせずに、報酬を満額もらえるまで対抗するようにしましょう。
報酬が未払いであるという内容証明郵便をクライアントに送る
未払い被害に遭ってしまったら、報酬が未払いであるという旨の内容証明郵便をクライアントに送りましょう。
内容証明は、公的な説明文章です。
そのため、いざ交渉の場に立ったときに非常に強いカードになります。
内容証明郵便に記載する内容は、以下のとおりです。
- 報酬の金額
- 報酬の支払期限
- 支払いがなかったときの法的措置の勧告
内容証明郵便は、法律にも関わってくるものです。
そのため、余裕があるのであれば弁護士のチェックを経てから送ると良いでしょう。
法テラスに相談する
未払い被害に遭ってしまい、法的措置に出るのであれば、専門家の助言は必須です。
その場合は、法テラスに相談することをおすすめします。
法テラスとは、日本司法支援センターのことで、法務省所管の公的な法人です。
無料の法律相談やアドバイス・紹介をおこなってくれるため、法的知識のない人にとっては心強い味方になります。
気軽に法律相談ができるため、未払い被害に遭ってしまった場合はまず法テラスに相談してみると良いでしょう。
少額訴訟を考える
報酬の未払いに遭ってしまったら、少額訴訟を起こすことも考えましょう。
少額訴訟とは、60万円以下の金銭支払を求めるときに利用できる制度です。
少額訴訟には弁護士が必要ありませんが、証拠書類等をすべて自分で用意しなくてはなりません。
また、裁判所にも出向かなくてはならないため、相応の時間と労力を使うことになります。
また、少額訴訟の判決には強制力がありません。
そのため、判決が出たからといって確実にクライアント先が支払いに応じるわけではありません。
しかし、少額訴訟の判決で訴訟相手の口座などを差し押さえることは可能です。
少額訴訟には、場合によっては通常訴訟になってしまうというリスクも伴うため、注意しなくてはなりません。
7割以上のフリーランスが未払い被害に遭っている
現在、約7割のフリーランスが未払い被害に遭った経験があるといわれています。
原因としてはフリーランスの社会的地位・認知度の低さです。
フリーランスは最近普及してきたものの、まだまだ完全に浸透したとはいえない働き方です。
そのため、社会的地位が低いのを良いことに、最初からフリーランスを使い倒すつもりで案件を依頼するクライアントも存在します。
そのようなクライアントに引っかからない一番の方法は、「怪しいクライアントとは取引をしない」ということです。
未払いへの対策方法は数多くあります。
そのため、自分のできるところから実行に移し、未払い被害に遭うことを未然に防げるようにしましょう。