フリーランスが廃業する前に知っておくべき全知識 2020.07.02
フリーランスは非常に自由な働き方ですが、廃業をするフリーランスも多いのが現実です。
しかし、フリーランスが廃業をする理由の中には、お対策を講じることでなんとかなるものもあります。
このページでは、フリーランスが廃業をする理由と手続き、注意点などを徹底解説しています。
フリーランスを廃業することを考えている人は、一度目を通してみてください。
フリーランスの廃業率は年々高くなっていく
フリーランスの廃業率は、フリーランスとして活動する年数が長ければ長いほど高くなる傾向にあります。
現在の、フリーランスの廃業率は以下のとおりです。
- 開業後1年:約30%
- 開業後3年:約65%
- 開業後5年:約75%
- 開業後10年:約90%
フリーランスとして開業してから10ほど経つと、実に9割程度のフリーランスが廃業しています。
つまり、フリーランスとして10年以上働けるのは、ほんの一握りのフリーランスだけなのです。
フリーランスは自分の好きなように働くことができるぶん、後ろ盾になるのは自分のスキルと実績のみです。
スキルが時代に追いつかなくなると仕事がなくなってしまうシビアな世界でもあります。
そのため、多くのフリーランスが10年もしないうちに廃業に追い込まれていくのです。
フリーランスを廃業する際に必要な書類
フリーランスを廃業するために必要な書類は、主に5種類あります。
- 廃業届
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 事業廃止届出書
- 所得税の青色申告の取りやめ届出書
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
フリーランスを廃業する際には、多くの書類を提出しなくてはなりません。
ひとつでも忘れてしまうと廃業手続きに時間がかかってしまうため、準備の段階からしっかり準備をするようにしましょう。
廃業届
フリーランスが廃業する際には、都道府県税事務所に廃業届を提出しなくてはなりません。
所属している都道府県によって提出期限や書式、名称は変わってきますが、必ずこの廃業届にあたるものを提出する必要があるのです。
詳細は各都道府県税事務所の公式サイトを確認することで調べることができます。
廃業届を提出しないと、税金の手続きや支払いが個人事業主のままになってしまうため、忘れないように提出をしましょう。
個人事業の開業・廃業等届出書
個人事業の開業・廃業等届出書は、フリーランスを廃業してから1ヶ月以内に税務署への提出が義務付けられています。
個人事業の開業・廃業等届出書は、税務署の公式サイトからダウンロードすることができます。
提出するにあたって準備・確認をしなくてはならない情報はありません。
その場で書ける内容がほとんどのため、フリーランスを廃業したらできるだけ早く税務署に届け出るようにしましょう。
事業廃止届出書
事業廃止届出書は、課税事業者が廃業をする際に提出しなくてはならない書類です。
非課税事業者は提出の必要がないため、提出する必要はありません。
事業廃止届出書の提出期限は特に定められていませんが、廃業をしたら速やかに提出することが求められます。
こちらも税金関連の手続きに関わってくるため、他の書類同様確実に提出するようにしましょう。
所得税の青色申告の取りやめ届出書
所得税の青色申告の取りやめ届出書は、フリーランスのときに青色申告の承認を受けている人が提出しなくてはならない書類です。
青色申告をやめる年の翌年3月15日までに提出しなくてはなりません。
提出先は税務署です。
青色申告を取りやめないと、廃業後も同じ税金を支払い続けなくてはなりません。
そのため、青色申告の承認を受けていたフリーランスの人は、所得税の青色申告の取りやめ届出書を提出しなくてはならないのです。
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書は、事業主として従業員に給与を支払っている場合に、提出が必要となる書類です。
これは廃業後1ヶ月以内に税務署に提出します。
廃業後1ヶ月以内に提出をしないと、廃業をした後も事業者としての税金を支払わなくてはなりません。
そのため、重要員に給与を支払っているフリーランスが廃業する際には、給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書を廃業後1ヶ月以内に税務署に提出しなくてはならないのです。
フリーランスが廃業を考える4つの理由
フリーランスが廃業する理由は、大きく分けて4つに分類されます。
- 継続して仕事を受注できない
- 生活できるレベルの収入を得られない
- 仕事の交渉がうまくいかない
- 税金などの手続きが大変
フリーランスは自由な働き方を実現できる分、良くも悪くも自分次第で収入の増減が決まります。
仕事を受注できないと、フリーランスとして生活していくことはできません。
そのため、フリーランスを廃業しようか考えているときは、なぜ廃業するのかという理由とその対策を知る必要があるのです。
継続して仕事を受注できない
継続して仕事を受注できないと、フリーランスとして働くことすらできません。
結果として生活ができなくなるため、廃業するフリーランスは多くいます。
フリーランスが安定して働くためには、クライアント先の企業が欲しいスキルを持っている必要があります。
クライアントによってニーズは違い、そのニーズもときとともにどんどん変わります。
そのため、フリーランスとして継続的に仕事を受注するためには、常にトレンドを注視してスキルアップを続けていかなくてはならないのです。
生活できるレベルの収入を得られない
フリーランスとして生活できるレベルの収入を得られないということも、多くのフリーランスが廃業に追い込まれる理由の一つです。
生活をしていくためにはお金が必要ですが、フリーランスとして仕事をもらえないと、生活するための収入を得ることもできません。
生活できるレベルの収入を得るためには、自分から営業活動をする必要があります。
フリーランスの案件は、ただ待っているだけでは舞い込んできません。
そのため、フリーランスが案件を獲得するためには、自分からクライアントに営業をかけることも必要なのです。
生活できるレベルの収入を得られずに廃業を検討しているフリーランスの人は、自分の営業活動が十分だったかどうかを思い返してみましょう。
仕事の交渉がうまくいかない
仕事の交渉がうまくいかず、フリーランスの廃業を考える人も少なくないでしょう。
フリーランスは、すべての事務的作業や単価交渉などを自分でまかなわなくてはなりません。
中でもクライアントとの単価交渉を上手く進められないと、自分のスキルを安く売り渡していることになります。
結果として労力に見合った対価を得られず、やる気を失って廃業を感上げるパターンが多いのです。
仕事の交渉がうまくいかずに廃業を考えているフリーランスの人は、自分の持っているスキルにもっと自信を持って単価交渉に臨むようにしましょう。
クライアントとフリーランスの立場は対等です。
そのため、多少大きく出たってなんの問題もないのです。
税金などの手続きが大変
フリーランスは個人事業主のため、税金などの手続きを一手に引き受けなくてはなりません。
税金に係る手続きは非常に面倒なため、税務処理の煩わしさから廃業を考えるフリーランスは少なくありません。
また、フリーランスになると納税額が増えるため、収入が間に合わないと税金の支払いに生活が圧迫されることになります。
税金関連の負担が大きいために、廃業を考えるフリーランスは多くいるのです。
しかし、現在では多くの会計ソフトが世の中にリリースされています。
会計ソフトを導入することで解決できる課題もあるため、廃業を考える前にまずは会計ソフトを導入することをおすすめします。
フリーランスが廃業する際に知っておきたい注意点
フリーランスが廃業する際には、廃業後の身の振り方によってそれぞれに注意点があります。
- 廃業届を提出するタイミングには気をつける
- 廃業後に法人化をする場合はそのための手続きも必要
- 廃業後に事業を譲渡する場合も廃業届が必要
廃業届を提出するタイミングや、廃業した後に事業をどうするかによって、注意すべきポイントは変わります。
そのため、自分の状況とポイントを重ね合わせ、自分が注意すべきポイントを洗い出しましょう。
廃業届を提出するタイミングに気をつける
廃業届を提出すると、その瞬間から経費を計上できなくなります。
そのため、廃業届を提出した後に経費が発生したとしても、経費として計上できない可能性があるのです。
そのため、フリーランスを廃業する際には、事業をしっかり整理し、それ以上経費がかからない状態にしてから廃業届を提出するようにしましょう。
廃業後に法人化をする場合はそのための手続きも必要
フリーランスを廃業した後、事業を法人化する場合は、法人化をする際の手続きも同時に進めなくてはなりません。
また、フリーランスが法人化する際には相応のメリットとデメリットがあります。
そのため、自分が本当に法人化をするべきなのかを確認することも必要になります。
法人化を心に決めている場合は、法人化をするための準備を廃業とともに進めていくようにしましょう。
フリーランスが法人化するときに知っておきたいメリットとデメリット
廃業後に事業を譲渡する場合も廃業届が必要
フリーランスとしてやっていた事業を他の人に譲渡する場合も、廃業届を提出する義務があります。
事業を譲渡すると、その瞬間から譲渡下側は事業主ではなくなります。
個人事業主ではなくなるため、例によって廃業届を提出しなくてはならないのです。
しかし、事業を譲渡した後も継続的にその事業から収入を得られる場合は話が別です。
その場合は事業を継続することができるため、廃業届を提出する必要はありません。
フリーランスが廃業しないためのポイント
ここからは、フリーランスが廃業しないためのポイントを解説していきます。
フリーランスが廃業しないためのポイントは4つです。
- セルフブランディングをおこなう
- スキルアップを怠らない
- 自分を安売りしない
- 受注した案件を確実に完了する
フリーランスが廃業しないためには、いかに仕事を受注できるかにかかってきます。
そのため、クライアントから見て魅力的なフリーランスになることが最重要なのです。
スキルを持った魅力的なフリーランスのもとには、良い案件が集まります。
仕事を選べるくらいになれば、フリーランスを廃業しようとは思わなくなるでしょう。
セルフブランディングをおこなう
フリーランスにとって、セルフブランディングをおこなうことは非常に重要です。
フリーランスにとって、クライアントに一番アピールできるのが自分自身です。
自分自身が商品となるため、その商品をどんどんブランド化していくひつようがあるのです。
セルフブランディングに効果的なのが、スキルや実績です。
自分自身という商品に付加価値をつけていくことで、クライアントから仕事を任せてもらいやすいフリーランスになることができるのです。
スキルアップを怠らない
フリーランスたるもの、いつ何時もスキルアップを怠ってはいけません。
クライアントのニーズや求められるスキルは、非常に流動的です。
時とともにどんどん変化していきます。
そのため、継続的に案件を受注するためには、常にトレンドを押さえたスキルアップを進めていく必要があるのです。
フリーランスという働き方は仕事量や時間を選べる分、常にスキルアップを求められることを忘れないようにしましょう。
自分を安売りしない
案件を受注することは大事ですが、自分のスキルに見合わない安い単価で案件を受注することは自殺行為になります。
安い単価で案件を請け負うということは、同じ労力を使っても、本来もらうべき金額をもらえないということなのです。
そのため、自分の持っているスキルを客観的に分析し、単価が低いと感じたら単価交渉をすることをおすすめします。
自分を安く売らないということを意識するだけで、廃業を考えることはなくなるかもしれません。
受注した案件を確実に完了する
受注した案件は、何があっても確実に完了するようにしましょう。
フリーランスは、信用によって成り立っている働き方です。
信用のないフリーランスのもとに、案件は来ません。
そのため、フリーランスは小さな案件であっても確実に完了し、信用を積み重ねていかなくてはならないのです。
信用が大きければ大きいほど、高単価の案件にも参画しやすくなります。
そのため、フリーランスとして働いていくのであれば、請け負った仕事は責任を持って最後までやり遂げることを念頭に置いておきましょう。
フリーランスを廃業する前に、もう少し粘ってみませんか
もしあなたがフリーランスを廃業することを考えている場合、一度思いとどまってみてください。
廃業するフリーランスの中には、対策次第では廃業しなくても良い人もいます。
そのため、廃業することを考えている人は、廃業届を提出する前にもう少しだけ粘ってみることをおすすめします。
一寸先は闇ではなく、光かもしれません。
フリーランスを廃業する前にもう少しだけ粘って案件を受注してみませんか?
ひょっとしたら廃業をせずにやり過ごすことができるかも知れませんよ。